三和テクノス株式会社

コラム:アルミ手すりの腐食について

耐食性に優れた金属がアルミニウムです。
非常に腐食しやすいが、酸素と非常に結びつきやすい性質を持っているため、表面には自然に非常に緻密な構造をした保護力の強い酸化被膜(不導態被膜)が形成され、腐食を抑制します。
傷ついても酸素が存在すれば、直ぐに再生されるので防食効果も維持されます。
 腐食が進行するのは、酸化被膜が機械的に損傷を受けたり、化学的に溶解してしまいその回復機能が妨げられた場合です。
一点が局部的に腐食することを孔食(ピッティング)といい、アルミニウムにはよく見られる腐食形態で、小さな穴が局部的に散在します。
孔食には塩素イオンが関係していて、表面に付着したゴミなどに含まれる塩素イオンが、酸化被膜を溶かします。
その塩素イオンが表面から進入していき、孔食が進行していきます。
その時アルミニウムは水酸化アルミニウムとなり溶け出しますが、溶け出した水酸化アルミニウムが孔食の入り口をふさぐ格好となり、次第に内部が中性化してやがて腐食がとまります。
アルミニウムとその他の金属を接触させた場合にも腐食は進行します。
これを電食(ガルバニック)といいます。
金属は電気が通るような液体の中では、電気化学的に見て各自が独自の序列を持っており、これを電位(ポテンシャル)といいます。
電位の高い金属を貴な金属といい、低い金属を卑な金属といいます。
両者が接触すると電位差があるので、卑な金属が陽極(アノード)で、貴な金属が陰極(カソード)となって電流が流れて腐食します。
溶液によって差があり環境によって電位が変化します。
電食の度合いも溶液の条件によって違いがあり、不純物のない溶液の中では弱く、化学薬品や海水等の高電導性の溶液の中では強い作用をおこします。
沿岸部や雨水に触れるところでは、常に電食されているものと思われます。
そのほかにも、隙間で起こる腐食もあります。
アルミニウムとアルミニウムまたはアルミニウムと他の物質との接触部分に存在する隙間で発生する腐食です。
隙間に入りこんだ水に含まれる酸素が、腐食反応によって消費され隙間以外の酸素量と差が生じるため、酸素濃淡電池を作ることとなり、隙間部における腐食がさらに進みます。
これを防止するには、隙間を作らないことまたは充填剤を注入することが最良になります。
弊社のPGMは、内部のスチール補強材とアルミの支柱のわずかな隙間にも充填されることを確認しております。
また、エポキシ樹脂やグラウトのように重量のあるものではないので、アルミ手すり自体に負担を掛けずに、将来的にアルミの手すりを交換した場合の処分の面でも、溶解したときに先に燃えてしまうのでアルミの再生が可能になると思われます。
マンションにお住いの皆様は、特にベランダに設置されているアルミ手すり(墜落防止手すり)の状態を確認してみてください。


PGM協会事務局 木村


2024.03.05